この記事は2025年10月に内容を更新しました
Webデザインを学ぶと、必ず出会うのがHTMLやCSSといったコード類。
「これって必要なの?WebデザイナーってHTMLコーディングをどこまで覚えればいいの?」って思いますよね。
2025年の今、AIやノーコードツールの進化で「コーディングスキルが必要なライン」は、これまで以上に曖昧になっています。
この記事では、初心者がどこまでHTML/CSSを学べば仕事に活かせるのかを、業界歴20年の現役デザイナーが解説します。
この記事を書いた人

- Web業界歴20年
- 会社員デザイナー →フリーランスへ
- 一児の母・在宅ワーカー
業界の片隅で20年近くやってきました。これからWebデザインを学びたい人のために、独学やスクールの情報をまとめています
なぜ「コーディングの必要性」で迷う人が多いのか
「WebデザイナーはHTML/CSSコーディングも学ぶべきなのか」
このテーマは、Web制作者のあいだでもよく話題になります。
デザインを学ぼうと本を開いたらHTMLだった、スクールに通ったら授業がコーディングばかり。よく聞く話です。
さらに、実際の受講生やデザイナー志望者の声を聞くと…
- プログラムっぽくて難しそう
- 地味で苦手…
- 覚えることが多すぎる
- できればデザインだけに集中したい
実際デザインではなくHTMLで挫折してしまう、志望者も多かったんですよね。
本当にWebデザイナーはHTMLやCSSも勉強するべきなのでしょうか?
現在は、HTMLコーディングは教えずデザインのみを学習するWebスクールも増えてきました。
結論|WebデザイナーはHTML/CSSを基礎だけでも学ぶべき
結論から言うと、2025年の現在はWebデザイナーはHTML/CSSをすべて覚える必要はありません。
その背景には、
- AIやノーコードツールの台頭
- Web制作現場における分業制の進化
といった大きな変化があります。
ただ…「基礎だけ」でも理解しておくことは大きな武器になります。
なぜなら、AIやノーコードツールがどれだけ進化しても、Webサイトの骨組みがHTMLであることは変わらないからです。

基礎を理解している人とそうでない人とでは、できることの幅も、仕事の自由度もまったく違ってきます!
さらに今は、AIがコーディングをサポートしてくれる時代。
昔のように、最初からすべてを自力で覚える必要はありません。
ちょっとしたHTML/CSSの知識があれば、AIに指示を出しながら実装できるようになります。



でもその指示には最低限の知識が必要
- HTML/CSSの基本的なルールを理解する
- AIやツールを活かして仕上げる
この2つを押さえるだけで、昔なら挫折しがちだったHTMLの学習も、今の方がずっと取り組みやすくなっています。
Webデザインとコーディングはまったく別のスキル
そもそも、見た目をつくる「デザイン」と、それを動く形にする「コーディング」はまったく別のスキルです。
Webサイト制作は、「Webデザイン」と「Webコーディング」の2つの作業に分けられます。
デザインソフトでつくったデザイン(絵)を、HTMLやCSSといったコードに変換することで、初めてボタンを押せたり、リンクをクリックできる「Webサイト」になります。



コーディングは文字通りコードを打つ作業のこと。「プログラムっぽい作業」くらいのイメージでOK!


なぜWebデザイナーがHTMLコーディングも担当していたのか
昔は「Webデザイナー=Webサイトを作る人」という認識だった


一昔前のWeb制作では、「Webデザイナー=Webサイトを丸ごと作る人」という認識が一般的でした。
Webデザインの作成からコーディング、さらにはサーバーへのアップロードまで、一貫してデザイナーの仕事とされていました。当時は技術がシンプルだったというのもあります。
現在はデザインとコーディングの分業が主流に


スマートフォンの普及とWeb技術の進化により、Webサイトはより複雑で高度な構造が求められるようになりました。
加えて、制作現場ではよりスピーディーなスケジュール(納期の短縮)も求められるようになりました。
その結果、現在の制作現場では以下のような分業が主流です。
- デザイン業務 → デザイナー
- コーディング業務 → コーダー(マークアップエンジニア)やフロントエンドエンジニア
また、この流れのなかで、DTP(紙)やグラフィックデザインの分野からWebに転向する人も増えました。もともとビジュアルデザインが得意な人が多く、コーディング経験がないままWebに入ってくるケースも。
そのため、令和の今は、Webデザイナーといっても「デザインメイン」の人と「デザイン+コーディング両方できる」人に分かれやすくなっているのです。
ノーコードとAIが「コーディング不要」の時代を加速させている
Webデザイナーがコーディングを覚える必要がない理由はまだあります。
それは、ノーコードツールや生成AIの登場です。
コーディングなしでWebサイト作成を可能にするノーコードツール
ノーコードツールとは、その名の通り「コードを書かずに」Webサイトやアプリを作れるツールの総称です。
ドラッグ&ドロップの操作でデザインを作成し、簡単な設定で動作をカスタマイズできます。
代表的なツールには、
があります。


これらのツールを使えば、コーディングなしでもデザイナーひとりでWebサイトを制作することが可能です。
近年では副業分野を中心に、ノーコードツールを活用したサイト制作は大人気です。
HTMLコーディングに比べて作業時間が大幅に短縮できるし、デザインやコーディングのスキルがそれほど高くなくても、クオリティの高いWebサイトが作れるんですよね。
ノーコードツールの詳しい活用法は、以下の記事にも解説していますので、参考にしてください。


以下はノーコードツールのSTUDIOとWixのスキルを身につけることができるスクールの比較とおすすめ一覧です。副業希望の方はおすすめ。


生成AIがHTMLコーディングをしてくれる時代に
さらに注目すべきなのが、生成AIの登場です。
適切なプロンプト(指示文)を入力するだけで、HTML/CSSやJavaScriptのコードを自動生成してくれます。すごすぎる。
20年前から「いつかHTMLを書く仕事はなくなる」と言われ続けてきました。
それでも10年、15年経ってもコーダーは第一線で活躍していたけど…



今、いよいよ本格的に「コーディングをしない制作」が広がり始めているのを感じます
でも、生成AIやノーコードツールの登場で、本当にWebデザイナーはHTMLを覚える必要がなくなったのでしょうか?
私はそうは思いません。
むしろ、基礎を理解している人ほどAIを武器にできる時代だと感じています。
特にフリーランスのWebデザイナーにとって、HTMLコーディングができることは、仕事の幅を広げる大きな強みになります。
「不要」じゃなくて「基礎があると圧倒的に強い」理由
ノーコードツールやAIの進化によって、HTML/CSSの知識がなくてもWebサイトを作れるようになったといっても、まったく知らないままでは使いこなすことはできません。
たとえば生成AIでは、HTMLやCSSの仕組みを少しでも理解していれば、的確なプロンプトを出せるだけでなく、AIが出したコードの修正や調整も自分で対応できます。
逆に、知識がないとAIをうまく活用できず、結局手戻りが増えることもあります。



まだまだAIは誤ったコードを出力することも多いからね
ノーコードツールも同じです。制約を超えたデザインや機能を追加したいとき、HTML/CSSを理解している人とそうでない人では対応力に大きな差が出ます。
- AIに正確な指示を出せる
- トラブルやバグに柔軟に対応できる
- 案件の幅が広がる
すべてのコードを覚える必要はなくても、基礎を押さえているだけで仕事の自由度は大きく広がります。
HTML/CSSを学ぶメリット(Webデザイナー目線)
軽い修正を自分でできると、外注コストも時間も減らせる
フリーランスのWebデザイナーには、「Webサイトをまるごと作ってほしい」という依頼がよくあります。
HTMLコーディングの知識がないと、こうした案件は外注前提。コストも手間も大きく、利益率も下がりがちでした。
でも今は、基礎的なHTML/CSSの理解とAIツールの活用があれば、自分ひとりで納品まで対応できるケースも増えています。
- 外注コストがかからない
- 外注のディレクションも必要なし
- 利益率が上がる
とメリットは多い。



フリーランスの強い武器になりますよ!
受注案件の幅が広がる
HTML/CSSがわかると、デザインだけでなく、Webサイト制作の幅広い工程に対応できるようになります。
- Webデザインのみ
- HTML/CSSコーディングのみ
- Webサイト制作一式
- 既存サイトの修正・保守
こういった多様な案件を柔軟に引き受けられるのは、フリーランスにとって大きな強みです。
既存Webサイトの修正案件を受注できる
実はフリーランスに回ってくる案件で多いのが、既存サイトの修正や更新です。
既存サイトのちょっとした部分を修正したいけど、自分では直せないし頼れる人もいない。という理由で、知人や知人の紹介経由で舞い込むことも少なくありません。
「バナーの差し替え」「テキストの修正」「画像の追加」など、一見かんたんな作業でも、HTML/CSSの知識がなければ対応できないことが多いです。
小さな修正案件をこなすことが大きな案件につながることも多いですよ。
レスポンシブデザインにはHTMLの理解が必須
レスポンシブデザインとは、スマホ・PCなど複数のデバイスに対応するWebデザインのことです。
デザイナーはそれぞれの端末用のデザイン数パターンを作成しますが、それをひとつのHTMLをベースにするのがレスポンシブデザインの仕組みです。
この仕組みを理解していないと、実装が難しいデザインが上がってくることが多々あります。
実用的なWebデザインをつくるには、レスポンシブの考え方とHTMLの基礎知識は欠かせません。
SEO対策やアクセシビリティを意識できる
HTMLの正しい書き方を理解していると、検索エンジンに正しく評価されるWebサイトをつくることができます。
たとえば見出しの使い方ひとつでも、SEO(検索エンジン最適化)の効果は大きく変わります。
また、アクセシビリティ(障がいのある人でも使いやすいサイトづくり)を考慮できるようになるため、より質の高いWebサイトを制作できます。
生成AIを活かすためにも基礎知識が必要
AIが目覚ましい進歩を遂げているのは確かですが、まだまだ万能とは言えません。
特に、HTML/CSSの基礎を理解しているかどうかで、AIを活用できるレベルには大きな差が出ます。
たとえば、生成AIにコードを書いてもらうには、プロンプト(命令文)を明確に出す必要があります。
このとき、ある程度HTMLやCSSの知識がないと、適切な指示が出せず、求めるコードが生成されなかったり、意図とズレた結果になったりします。
実際、私自身も動的なコードをAIにお願いしたとき、「この関数を使える?」「こういう書き方にできる?」と修正を何回もお願いして、ようやく想定通りの動きを実現できました。私に最低限の知識があったから、やり取りが成功したのだと思います。
さらに、AIがHTMLを自動生成しても、それが完璧とは限りません。
バグやエラーが含まれていることもあり、基礎知識がなければ修正も判断もできないのが現実です。



AIはまだ魔法のツールではなく、知識がある人が使うパワーアップアイテムという感じ
WebデザイナーのためのHTML/CSS学習ロードマップ
次に、WebデザイナーがHTMLを学ぶときに「どこまでやればいいのか」を、学習範囲やコスパの面から考えてみましょう。
HTML/CSSは、非エンジニアでも学びやすい
HTMLとCSSは、初心者でも比較的スムーズに習得できる言語です。
HTMLは「マークアップ言語」と呼ばれ、プログラミング言語のような複雑なロジックは必要ありません。
マークアップ言語とプログラミング言語の違い



よく「HTML=プログラミング」と思われがちですが、実は役割が異なります
- HTML:ページの構造や意味をコンピューターに伝える
- CSS:その見た目を装飾・レイアウトする
- JavaScript:ボタンの動きなど、ページに“動き”をつける
HTMLとCSSはマークアップ言語、JavaScriptがプログラミング言語です
HTMLとCSSは「何をどう見せるか」を指定する言語で、いわばWebページの骨組みを作るものです。
ルールもシンプルなので、デザインの知識がある人なら特に覚えやすい分野です。
Webデザイナー向け、HTML/CSSコーディングおすすめ学習教材
初心者向けのHTML/CSSの学習本です。サンプルサイトを実際に構築しながら力が身についていきます。サーバーやドメインについての解説も載っています。
さらに基本の一冊が欲しいならこちらもおすすめ。
難しいことは載っていません。それが逆にシンプルで良い。基礎知識の学びにはこれでOK。
オンライン学習も良いです。初心者向けオンライン学習サイト「Progate」では、ブラウザ上でコードを打つ実践演習を重ねながら、HTMLを学ぶことができます。
詳しくは以下の記事で紹介してます。


Kindle Unlimitedの読み放題対象の本にも、HTMLが学べる本があります。最初の30日間は無料で、気軽に退会&再開ができるので、ぜひ試してみてくださいね。


Webデザイナーが初めてコーディングを勉強する場合のロードマップ記事です。


JavaScriptができるとさらに強みになる
JavaScriptはWebサイトに動きをつけるためのプログラミング言語で、
・ボタンのアニメーション
・メニューの開閉
・スクロールアニメーション
などを実装してくれます。
JavaScriptは本格的に習得しようとすると難易度が上がりますが、基本構文やライブラリの使い方だけでも十分実務で役立ちます。
実際、私もJavaScriptはそこまで得意な方ではありません。
それでも基礎がわかっているおかげで、生成AIを活用してコードを書いたり、エラーの修正をAIに任せたりできるようになり、ここ数年で作業が一気にラクになりましたし、対応できる仕事の幅も広がりました。



これからは、完璧に覚えることよりも基礎+AIを使うことが大事
私がお世話になった書籍の一冊です。「超入門」というだけあって、かなりの初心者向けのJavaScript入門書でわかりやすかったです。
この本は、Webサイトで実際に使われるJavaScriptについて、わかりやすくまとめられています。
HTMLを学ぶ必要がないWebデザイナーの特徴
すべてのWebデザイナーがHTMLを学ぶ必要があるわけではありません。
実際、以下のような人はコーディングスキルがなくても活躍しています。
- デザインレベルが高い
- 制作会社など、分業制の職場で働いている
- HTMLコーディング以外に強み(イラスト・動画・ブランディングなど)がある
私のまわりでも、デザイン特化で活躍している人はたくさんいます。コーディングはやらない分、その分デザインに全集中です。
また、制作会社などでは、コーディング専門のエンジニアが別にいるため、デザイナーがHTMLを触ることはありません。
また、他の強みがあると、それだけで重宝される存在です。



デザインのみを学べるWebデザインスクールのまとめ記事があります。興味がある人はチェックしてみてくださいね


まとめ|WebデザイナーはHTML/CSSをどこまで学ぶべきか
まとめると、HTML/CSSは「すべてを覚える必要はないけれど、基礎を押さえておくと有利」です。
- 会社員デザイナーの場合、分業制の現場では無理に覚える必要はなし
- フリーランスの場合は、受注できる案件の幅が広がる
- レスポンシブデザインを理解していると、実用的なデザインができるようになり、エンジニアとの連携もスムーズになる
- すべてを自力で覚える必要はなく、AIを使ったりすればOK
- ノーコードツールを使う選択肢もあり
- AIやツールを活かすためには、最低限のHTML/CSSの知識があると強い



自分の働き方によって、「どこまで学ぶか」を考えられるといいですね
Webデザインを頑張っている人のために、おすすめの書籍をまとめています。


未経験から独学でWebデザインを学ぼうと考えている方のために、独学ロードマップの記事を作成しました。


Webデザイナーになるための学習にかかる初期費用を細かく解説した記事はこちら。

