Web制作の仕事では必ず耳にする「サーバー」という言葉。
ただ、Webデザイン初心者には、システム的なことっていまいちピンとこないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、非エンジニアのWebデザイナー向けに、「Web制作に関わるなら、ここまでは知っておくといいよ」というラインを目指して、サーバーの基本を解説します。
こんな方におすすめの記事です
・Webデザインを勉強中で、サーバーの仕組みがよくわからない
・エンジニアではないけど、Web制作に関わっている
・レンタルサーバーやドメインの話になるとよくわからない
サーバーってなに? 役割を知ろう
Webサービスはすべてサーバー上で動いている
現代は、インターネットを通じて情報をやり取りする時代です。
その情報を管理して、データのやり取りを支えているのがサーバーです。
SNSやネットショッピング、銀行のATM、オンラインゲームなど、私たちが利用しているオンラインサービスは、すべてサーバーを介して動いています。
サーバーにデータを置き、
サーバー上でプログラムを動かし、
サーバーを通じてサービスを提供する。
この仕組みがあるからこそ、私たちはいつでも同じサービスを使うことができます。


サーバーは休みなく動き続けている、現代社会に欠かせない存在です
サーバーは、データの保管庫
サーバーは、インターネット上にある「データ置き場」のような存在です。
例えば、Googleフォトに保存している写真や、SNSに投稿した写真・文章のデータは、クラウド(インターネット)にアップしているというイメージは皆さん持っていると思いますが、具体的にいうと、すべてサーバー上に保存されています。
私たちは普段あまり意識していなくても、インターネットを使うたびに、サーバーにデータを預けながら生活しています。
サーバーに置くと世界中からアクセスできる
例えば、あなたのパソコンの中に、Webサイトのデータ(HTMLファイルや画像ファイル)が入っているとします。
この状態では、そのファイルは基本的に自分のパソコンからしか見ることができません。
一方、サーバーにデータを置くと、インターネットを通じて、世界中の人がそのデータにアクセスできます。
インターネット上には、世界中に無数のサーバーが存在していて、私たちが普段見ているWebサイトは、その中のどれか一つに保存されているデータです。


Webサイトを公開するとは、「サーバーにデータを置くこと」だと言い換えることもできます。
サーバーは「データを提供する存在」
サーバーは、ただデータを置いておくだけの「保管庫」ではありません。
サーバーの役割は、ユーザーからのリクエストに応じて、「必要なデータを提供すること」です。
例えば、ユーザーが「このホームページが見たい」というリクエストを送るとします(具体的には、ブラウザにURLを入力する行為)
サーバーは、その要求を受け取り、中に保存されているデータ(HTMLや画像など)を取り出して、ユーザーのブラウザに返しています。
これがサーバーの仕事です。


サーバーは24時間眠らない、働き者の優秀な店員さん
Webサイトが表示されるのも、
画像が読み込まれるのも、
ページを更新すると内容が変わるのも、
すべてサーバーが「提供」しているから成り立っています。
「提供する」は、英語で Server(サーバー)です
サーバーにはいろいろな種類がある
サーバーがないと、情報の共有もできませんし、システムも動きません。
そんなサーバーは多くの要求に応えるべく、目的に応じていろいろな種類に分かれています。
例えば、Webサイトのデータを扱うのが「Webサーバー」、メールの送受信を行うのが「メールサーバー」です。
どのサーバーになるかは、サーバーにどんな役割のソフトをインストールするかで決まります。
Webサーバーが欲しければ、Webサーバー用のアプリケーションをインストールするというイメージです。
とはいえ、実務でデザイナー自身がサーバーを作ることはほとんどありませんが…。イメージとして頭の片隅にでも入れてもられば
Web制作で、Webデザイナーが主に関わるのが、「Webサーバー」です。
Webデザイナーが一番関わるのは「Webサーバー」
Webサーバーは、HTMLやCSS、画像、JavaScriptといったWebサイトをつくるためのファイルを保存して、ユーザーに提供する役割を持っています。
私たちが ChromeやSafariでWebサイトを見ているとき、裏側ではWebサーバーからデータが送られてきているんです。


作ったデータは「Webサーバー」にアップロードする
パソコンの中で制作している状態は「ローカル環境」と呼ばれ、この段階では基本的に自分しかWebサイトを見ることができません。
Webサーバーにデータをアップロードすることで、はじめて第三者がWebサイトを閲覧できるようになります。
そのため、Webサイトを公開するには、
・Webサーバーを提供(レンタル)している会社と契約する
・Webサーバーを自分で立ち上げる
といった必要があります。
なお、Webサーバーにデータを置いて、一般のユーザーがアクセスできる状態を「本番環境」と呼びます。
実務では、「本番環境」とは別に、ネット上に「テスト環境」や「開発環境」を用意することもあります
データを送るための道「FTP」
作ったデータをサーバーに置くためには、データを転送するための専用の通り道が必要です。
この仕組みをFTPと呼びます。
実務では「FileZilla(ファイルジラ)」などのFTPソフトを使い、自分のパソコン(ローカル)からサーバーへデータを運びます。
「アップロード = FTPソフトでサーバーにデータを届けること」だと覚えましょう!
最近は、保存するだけでサーバーへ反映される便利なツールも多く、FTPソフトを使わないシーンも増えています。でも、「手元のデータをサーバーという箱に届ける」という基本は変わりません。最もシンプルで直接的な届け方がFTPです。
サーバーとドメインの関係
ドメインとサーバーは別もの
Webサイトにはドメインという名前がついています。
このサイトで言うと、「fukufuku-life.com」がドメイン名です。
ブラウザのURL欄にドメインを入力すると、そのサイトが表示されますよね。
ドメインは自分で取得できますが、世界に一つだけのものなので、すでに使われている名前は使えません。
一方で、インターネット上のサイトにはすべて「IPアドレス」という識別番号がふられています。
コンピュータは、数字(IPアドレス)をもとに通信を行っています。
IPアドレスは、いわば「サーバーの正確な住所(緯度経度のようなもの)」です。
ですが、数字だけでは人間には覚えにくいですよね。そこで、看板として「ドメイン名」を使います。
この「看板(ドメイン)」と「住所(IPアドレス)」を紐づけているのが、DNSというシステムです。
DNSはサーバーとドメインをつなぐ役割
ドメインとサーバーは、もともと「別もの」であり、最初からくっついているわけではありません。
たとえば、「ドメインはそのままで、サーバーだけ別の会社に変える」といったことは、Web制作の現場ではごく普通に行われています。
この別々の存在であるドメインとサーバーを結びつけているのが、DNSという仕組みです。
ユーザーがドメインを入力すると、DNSが「このドメインは、どのサーバーにつながっているか」を調べ、正しいサーバーへ案内します。
DNSは、ドメインとサーバーをつなぐ案内役のような存在だと考えるとわかりやすいです。
そして、このDNSという仕組みを、裏側で動かしているのが DNSサーバー です。
DNSの仕組みをしっかり理解する必要はありません。ただ、Webサイトが表示されないとき、サーバーではなく、DNSの設定が原因のこともあるので、役割だけでも頭の片隅に入れておくとOK
Webサーバーの選択肢はいくつかある
Webサイトを公開するためのWebサーバーには、いくつかの選択肢があります。
会社で使われるサーバー
企業のWebサイトでは、会社が用意・管理しているサーバーを使うケースが多いです。
社内でサーバーを持っている場合もあれば、AWSなどのクラウドサーバーを利用していることもあります。
この場合、サーバーの構築や管理はインフラ担当やエンジニアが行い、Webデザイナーは制作や更新を担当する、という役割分担が一般的です。
個人・小規模サイトでよく使われるサーバー
個人サイトや小規模なWebサイトでは、サーバーを一から用意するのは大変なため、レンタルサーバーがよく使われます。
サーバーの管理を任せられるため、初心者でも比較的扱いやすいのが特徴です。
この「レンタルサーバー」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
なぜレンタルサーバーが必要なのか
Webサイトを公開するには、Webサーバーが必要なのはわかりましたよね。
ただ、サーバーを一から用意して管理するのは、専門知識も手間もかかるので、個人や小規模なサイトの場合、現実的ではありません。
そこで使われるのが、レンタルサーバーです。
レンタルサーバーとは
レンタルサーバーとは、Webサーバーを提供している会社から、サーバーの一部を借りて使うサービスのことです。
サーバーの管理やメンテナンスはサービス提供側が行い、利用者はWebサイトのデータを置いて使うだけ、という形になります。
そのため、サーバーに詳しくなくても、簡単にWebサイトを公開できます。
セキュリティ対策もサーバー会社が行ってくれるし、高速で性能の良いサーバーを比較的安価でレンタルできます。
賃貸アパートの一室を借りているイメージですね
例えば、今読んでいるこのブログは「Xserver」というレンタルサーバー会社が管理しているサーバー上に公開されています。
私はXserverに利用料を支払い、サーバーの一部をレンタルして、このサイトを運営しています。


レンタルサーバーは初心者向きの選択肢
レンタルサーバーは、初期設定が用意されていることや、管理を任せられること、情報や使い方が豊富なことから、初心者や非エンジニアに向いています。
Webデザインを学び始めたばかりの人が、最初に触れるサーバーとしてもおすすめ
今のレンタルサーバーは非常に高性能なので、ちょっとしたサイトならレンタルサーバーで十分です。
AWSなどのクラウドサーバーは自由度が高い反面、設定や管理が難しく、専門的な知識が必要なのです。
サーバーはどこで管理されているのか
サーバーは物理的に存在している
インターネットには無数のサーバーがあると言いましたが、これらのサーバーは勝手に生まれたわけではないです。
必ず個人や会社といった ”誰か” が、作って立ち上げたものです。
サーバーは、クラウド上の存在のように感じられがちですが、実際には物理的な機械として存在しています。
サーバーの実態イメージはこんな感じです。


見た目は普通のパソコンとよく似ています。
このサーバーの中に、実際のWebサイトのデータや各種情報が保存されています。
そのため、この装置が物理的なダメージを受けて故障すると、中のデータも失われてしまいます。
こうした事態に備えて、通常のサーバー運用では、必ずバックアップ体制が取られています。
サーバーは個人で立ち上げることもできます。サーバー用のパソコンを購入し自宅で運用する人もいて、これを「自作サーバー」と呼びます。
データーセンターとは


このような写真を見たことはないでしょうか。
これは、数百台から数千台、場所によっては数万台ものサーバーをまとめて管理している施設で、データセンター(DC)と呼ばれています。
また、サーバーを格納している部屋をサーバールームと言い、温度管理や電源、セキュリティなどが徹底され、24時間安定してサーバーを動かせる環境が整えられています。
データセンターは、遠隔地からでも管理・監視できるようになっています
サーバーはスペックにより動きの許容量が決まっています。なので、自分の許容量をオーバーすると、動きを止めてしまいます。
ニュースなどで、話題になった企業のWebサイトが一時的に見られなくなることがありますが、これはアクセスが集中してサーバーがダウンしてしまったケースです。
そのため、アクセス数の多い大規模なWebサイトを運営するには、高い性能を持つサーバーや、信頼性の高いデータセンターが必要になります。
Amazonのような世界規模のサービスになると、世界各地に大規模なデータセンターが設置されています
サーバーを管理しているサーバーエンジニア
サーバーは、電気や水道と同じように、現代のインターネット社会を支えるインフラのひとつです。
サーバーを構築し、監視し、トラブルに対応しているのがサーバーエンジニアやネットワークエンジニアと呼ばれる職種です。
サーバーは24時間365日稼働しています。
私たちが普段不便なく生活できるのは、サーバーエンジニアの方々の支えがあってこそ成り立っています。
まとめ
以上、サーバーについて基本的な知識をまとめました。
なんとなくでもイメージがついたでしょうか?
Webデザイナーが実際に関わるのは主にサーバーにデータをアップロードする部分です。
が、仮にフリーランスになると、お客様のサーバー選びの相談や、サーバー移転(引っ越し)、サーバーやドメイン契約のサポートなどを任される場面も出てくるかもしれません。
まずは、初心者向きのレンタルサーバーに実際に触れてみるだけでも、十分な勉強になりますよ。

