Webデザイナーに向いている人ってどういう人?
こんにちは、現役Webデザイナーのフクです。Webデザイン歴は17年になります。
この記事では、「Webデザイナーに向いている人はどんな人か?」を、Web制作現場の片隅で働いて17年になる現役Webデザイナーが真面目に考えてみました。
デザイナーに向いている人というと、「クリエイティブな発想に優れている」「職人気質」みたいな、そりゃそうだろっていういかにもな内容の記事が多いですが、そんな当たり前の話ではなく、元々の本人の性格や生まれ持った気質で考えています。
私の身近にいるデザイナーがどんなタイプかも検証しています
一人作業が大好きな人、引きこもりが苦にならない性格
ずっと机に向かって一人で黙々と仕事ができる人、何よりまずはこれです。
内向的な人には信じられないかもしれませんが、世の中には机に座っていると気絶してしまう、人と話さないと耐えられないという性質の人が男女問わず少なからずいます。こういう人たちにはWebデザイナーは絶対に向いていません。
職場で一緒だった同僚やフリーランス仲間ももれなく皆、一人作業も黙々作業も大好きな人たちです。
Webデザインとは、実作業は、地味で地味で地味な仕事なのです。
また、Webデザイナーは制作してなんぼの世界です。1日10時間以上、休みなく制作活動をしなければいけない状況になっても耐えられる(というかあまり苦痛に感じない)人が向いています。
私はフリーランスになりたての時はパソコンの前から離れたくなくて、数週間は食材の調達以外で家を出ませんでしたが、全く苦痛ではありませんでした。仕事がはかどってはかどってしょうがありませんでした。
もちろん体にはよくないので、今はちゃんと意識して外に出たり体を動かすようにはしてますが、私は一人でいることも家に籠ることも、ずっとパソコンの前にいることも全く苦にならない性格です。
間違えないで欲しいのですが、人と接するのが苦手な人が向いている、と言っているわけではありません。
一人で仕事をすることに全く抵抗がない人にとって、Webデザイナーはハマると天職です。
デザインやパソコン作業が好きな人
「好きを仕事にしない方がいい」と言う言葉がありますが、デザインもその通りで「好き」を仕事にして潰れてしまった人をたくさん見てきました。
しかし、その中で残っているのは、やはり、好きで好きでこの仕事を続けたいという人ばかりです。
寝ても覚めてもデザインをやっていても苦痛でない人、趣味がデザインと言えるくらいデザインが楽しい人。単純にパソコン作業が好きな人。そんな人たちがゴロゴロしています。
デザインは「好きじゃないと続かない」がまかりとおる仕事です。デザイナー志望者はたくさんいます。好きじゃないとモチベーションが続かず辞めてしまいますし、好きじゃないと業界の進化スピードにもついていけません。
シンプルですが、一番大切なことです。
もちろん、最初は憧れやなんとなく楽しそうという理由でもWebデザインを選んでいいと思います。
自分がデザインに適性があるかどうかは、まず独学で無料の範囲でデザインソフトを触ったり、Webコーディングをしてみたりすることです。その時点で挫折しそうであれば、辞めた方が無難です。
また、仮にしっかり学んだ後で実際にWeb系の会社に就職しても、実務をこなしているうちに何か違うということもあると思います。ただ、それは会社の雰囲気や仕事内容によるかもしれません。
Web業界は他業界と比べると割と転職のしやすい業界だと思いますので、気に入らなかったら別の会社へ転職するのも手です。次の会社はあなたにハマる会社かもしれません。
また、Webデザインがダメでも、WebディレクターやUIデザイナーやWebコーダーなど、Web業界にはいろいろな職種があります。Webデザイナーからのジョブチェンジしている人もたくさんいますよ。
責任感の強い人
デザイナーはぶっちゃけていうと、個性が強すぎる人も多いです。しかし、仕事に関しては男女問わず責任感が強く真面目なタイプが目立ちます。
デザインは、世間から見たクライアントの第一印象を決める大事な大事な仕事です。責任感の強い人はクライアントの期待に応えようとします。
またデザインというのは、クライアントにとっても口を出しやすく期待値が高くなりがちなものでもあります。システムのことはよくわからないけどデザインなら口を出せると言う人も多いです…。
そのためいい加減な仕事をするとすぐに信用を失います。
逆にクライアントのために努力できる人はデザイナーとしての成長が著しいです。
最後まで粘り強く相手に向き合える気質は、創造力やデザインスキルよりも大事なものです。
デザインの言語化ができる人
次は元々もっている素質というより、Webデザイナーになってからでいいので身につけた方が良い資質です。
最初にあげた【黙々と仕事ができる、デザインが好き】は余裕でクリアする人でも、これは難しいという人が多いかもしれません。ちょっとしたテクニックが必要になります。ただ、最低限でいいので、このスキルは持っていないと後々辛くなってきます。
自分のデザインを言語化して相手に伝えられる人。どうしてこの配色なのか、どうしてこのフォントなのか、どうしてこのレイアウトなのか。
デザインというのは正解はないと思われがちですが、商業デザインの場合はある程度の正解があります。
「どう考えてこのデザインになったのか?」というのは必ず聞かれます。
言語化することで、さらにより良くするにはどうしたらいいかをチームで考えることもできます。
自分のデザインを説明できない人は、だいたい潰れてしまいます。
間違っていても別にいいんです。それはそれで訂正しながら成長していくので。
ただ「デザインを見ればわかるでしょ」は通じません。
デザインの言語化については、こちらの書籍がおすすめです。
スキル磨きをできる人
Webデザインは日々進化していっています。デザインにも流行があるし、Webというジャンルの進化の速さもあり、技術的に覚えることが次から次へと出てきます。ツールも新しいのがどんどん出てきます。
この進化を受け止められる人でないと、Webデザイナーには向いていないと思います。
最初に身につけた知識とスキルそのままで10年も20年も戦うことはできません。
仕事しながら勉強するのは楽なことではありません。実際Webデザイナーに限らず、Webの進化についていくことをやめて別の仕事についた元IT業界の人はごまんといます。
「それってつまり新しいものが好きで好奇心旺盛でアンテナが高くなきゃ向いていないのか?」と思われがちですが、全然そんなんじゃなくてかまわないです。そんなのできるの20代くらいです。
嫌々でもいいから、仕事なんだから、ちゃんと自分の仕事の最新知識をアップデートできる人。
インプット作業を怠らない人。そんな責任感のある人がしぶとく生き残るWebデザイナーになれると思います。
キラキラしてなくても大丈夫な人
Webデザイナーってどういう印象ですか?都会的でキラキラしたイメージ持っていないですか?
しかし実際のWebデザイナーはむちゃくちゃ地味な仕事です。一人でこもってもくもくとPCに向かい続ける仕事です。繁忙期は、社内のデスクでカップラーメンを啜りながらテーブルの下で仮眠をとったりします。
そんな環境でも全然大丈夫という人は、根性があるので向いています。
きっちりしている人…である必要はない。ADHDの特性はどう?
デザイナーに向いている条件でよく上がるのが「職人気質」「ミリ単位のずれを許さないこだわり」というイメージです。
確かにトップクリエイターともなると、細部にこだわった美しいデザインをあげてくるのは事実ですし、私も新人の頃は細部のズレにだいぶダメ出しを受けました。
でもまだ駆け出しのWebデザイナー志望であれば、そこまで深く考える必要はないかと思います。
なぜなら、Webデザインの最大のメリットとして、簡単に修正できるということが挙げられます。
印刷物のデザインは、印刷されてしまえばもう修正はききません。そのために何度も校正を重ねるのですが、それでもたびたびミスはおきてしまいます。何万部と印刷されたチラシの校正ミスを見つけたときは軽く昇天できます。
一方Webデザインはというとミスを発見しても秒で直して素知らぬ顔をしてアップし直すことができます(重大なミスであれば告知が必要ですが、そこまでのミスでないケースの話です)
ちょっと話がずれますが、デザイナーにはいわゆる変わった人が多いです。いわゆる発達障害と言われる特性を軽くでも持っている人が多いのを肌感覚ですが感じます。
で、ちょっと専門用語になりますが、グラフィックデザイナーやプロダクトデザイナーはASDタイプの人が多い。ASDタイプとはこだわりが強くて感覚が過敏な人が多く、いわゆる博士・職人タイプな気質の人が多いです。研究者や医者、プログラマはASDに向いていると言いますよね。
デザイナーもこのASDタイプが少なくなく、ASDの特性とクリエイティブ好きがマッチすると、とんでもないクリエイターに化ける可能性があります。
しかし、Webデザイナー界隈に限っていうと、ADHDの人の方が意外にも多いんです。ADHDというのは、注意欠陥多動障害といって、頭の中がいつも忙しくて、日常でミスが多く、多弁だったり多動だったりする人のことです。企画力や発想力があるけど、とにかくミスが多い。頭がごちゃごちゃしているので細かいところに気付けない。ASDタイプとは真逆です。でもなぜかWebデザイナーには多い。
その理由は、Webデザインは、他のデザイン職と比べても例がないくらいやり直しがききやすいからかと思います。
ADHDでクリエイティブ性は高くてもおっちょこちょいの人にとっては、Webデザイナーというのはある意味すごく合っている職種なんですね。
あとWeb会社は、普通の会社に比べると少人数で緩めの会社が多いです。昨今だとテレワーク中心、出勤も自由なんて会社もある。こういった働きやすさは、発達障害の人には特に良い環境だと思います。
WebデザイナーはHSPに向いているかを検証する
ASDとADHDの話をしたので、もう一点HSPと言われる人たちについても考えてみます。
HSPとは、ハイパーセンシティブパーソンといい、感受性が高く人の気持ちに敏感で、そのせいで人一倍疲れてしまうタイプの性質の人のことを言い表した言葉です。ざっくりとした説明ですみません。
Web業界にはこのHSP気質の人も多いです。
しかしHSPは、Webデザイナーにも向いていると個人的には思います。その理由を以下に述べます。
一人でコツコツとできる
HSPは人といると消耗してしまうので、できれば人と触れ合わない一人でできる仕事の方が向いています。
その点、在宅ワークができて、基本一人作業のWebデザイナーはうってつけの仕事です。
お客様の立場にたって考えられる
世の中にはいろいろなデザイナーがいて、びっくりするほど自分本位なデザイナーもいます。
一方で、自分を殺してお客様第一でデザインを作るデザイナーもいます。こういうデザイナーはお客様の要望の吸い上げがとてもうまく、クライアントが心から気に入るデザインを作ります。感受性が強い・共感力が高いからなんでしょうね。
HSP気質の良い面ですよね。ただしストレスの溜め過ぎには注意が必要ですが。
修正戻しやダメ出しに耐えられるかどうか
どんなに素晴らしいデザインでも一発OKになることは稀です。
駆け出しであればあるほど、デザインの戻しは当たり前のようにあります。ちゃんとどこを直して欲しいか言ってくれればいいものの、ひどいクライアントだと「なんか違う」とだけ言われることもあります。
何時間もかけて作ったデザインをつきかえさせるのはメンタルにきますし、落ち込む人も多いです。
しかし、決して本人の人間性を否定されたわけではありません。ただ、デザインが要望とずれていただけです。
HSPは基本指摘に弱いし、必要以上に悲観的に受け取ってしまう傾向があります。
でもこれはどんなデザイナーも通る道ですし、再度書きますが自分自身を否定されているわけではないので、楽な気持ちでいきましょう。
もっとも、仕事が忙しいと、戻しがくるたびにイライラはすれどいちいち傷ついている余裕すら無くなってきますが。
実際に身近にいるWebデザイナーはこんな人
私の身近にいるWebデザイナーはこんな人たち
・几帳面でこだわりが強く、デザインもきっちりクオリティが高いものをあげてくるAさん。若い頃からデザインへの向上心が強く、コツコツと頑張ってきた。放っておくと延々と仕事をしているワーカーホリックタイプ。
・SNSや流行り物が大好きなBさん、とにかくアンテナの感度が高い。流行をおさえるのが上手。
・お客様からの信頼感が厚いCさん、一見普通っぽいけど普通だからこそお客様目線で仕事ができる。お客に合わせたデザインができるのが強み。
・フットワークが軽くてお客様受けもいいDさん、制作物は若干ミスが多いけど、修正は早いし、お詫びも丁寧。キャラで乗り切っている。
・得意ジャンルがはっきりしているFさん、このジャンル以外はやらないと言い切っていてすがすがしい。フリーならそんな働き方もあり。
・本当はデザインよりコーディングが好きなHさん。でもプログラムはやりたくないし、フリーの仕事が切れないからデザインもやってるらしい。自作のテンプレートを駆使して器用に仕事をとっている。
Webデザイナーに向いていない人
最後にWebデザイナーに向いていない人の話をしますね
机に長時間座って作業ができない人
最初にも書きましたが、世の中には黙々と仕事をすることがどうしても性に合わない人がいます。
そういう人はWebデザイナーには絶対に向いていないので、Web業界で働きたいのであればデザイン会社の営業やWebディレクター、Webプロデューサーになるといいと思います。
プライベート優先でいたい人
プライベートを優先することが悪いことだとは全然思いません。ただクリエイティブ職・技術職というのは自分が手を動かした経験値がダイレクトにスキルやセンスに繋がっていきます。
ある程度は仕事優先の生活を覚悟しないと、Webデザイナーとしてのレベルは上がっていかないと思います。
同じような理由で仕事に対して向上心が全くない人も、デザイン職には向いていません。
まとめ
デザイナーに向いている人のまとめ、いかがだったでしょうか?
基本デザイナーは変な人ばかりです。でもそれが個性的で面白かったりします。