こんにちは、Webデザイナーのフクです。元々は会社員デザイナー、今はフリーランスをやっています。
15年以上Webデザイナーをやっていますが、ぶっちゃけWebデザイナーになって後悔したことは10,000回くらいありますし、辞めて別業界に転職しようと思ったことも何度も何度もあります。20代後半がピークだったでしょうか。
憧れだけでは厳しい現実もあります。この記事では、私の実体験や、周りのWebデザイナー達にも聞いた、就職して後悔したポイントをまとめてました。20年近く業界を見てきた本音をまとめています。
Webデザイナーの離職率と退職の理由は?
厚生労働省が出した統計資料では、R4年度上半期の業界別の離職率では「情報通信業」の離職率は6.4%でした。
ランキング別に見ると、離職率の高い業界1位は
1位:宿泊業、飲食サービス業
2位:その他サービス業
3位:教育、学習支援業
と続き、情報通信業は9位でした。
このデータだけ見ると、情報通信業のひとつであるWebデザイナーの離職がとりわけ高いとは言えません。
※ただ、コロナ禍での統計ですので、イレギュラーな要素が大きく参考にはならないかもしれません。
Webデザイナーのリアルな退職の理由で、よく聞かれるのが以下のような声です
- プライベートの時間がとれない
- 勤務時間と給料面があっていない
- 思うようなデザインの仕事ができなかった
- 業界全体の人材の流れが激しいので、自分もそれに乗っかろうと思った
上記のような理由で、デザイナーを辞めていく人たちをたくさん見てきました。どの人も最初はWeb業界への憧れやデザイン職へのやる気に満ち溢れた人でした。
Webデザイナーの後悔ポイント5点を解説
私や周りのWebデザイナー達の実例を交えた後悔ポイントを紹介します
ワークバランスがとにかく悪い
Web制作現場というのは、基本的にワークバランスが悪いです。ワーク多すぎ。仕事とプライベートのバランスを取ろうと思っても、気づくと仕事ばかりしている生活になりがちです。
デザイナーは技術職であり制作物が全てなので、基本的に自分やクライアントが納得のいくデザインができるまで対応しなければいけませんし、その分拘束時間は長くなります。
コロナ禍の流れで在宅ワークの会社も増えましたが、在宅ワークこそ時間感覚が曖昧になり家での作業がずるずると続いてしまいがちです。
また、クライアントの中には、「月曜日までにどうしても必要なんだ」というセリフを金曜の夕方に言ってくるという無茶振りをしてくるところもまだあります。
納期のサイクルが短い現場も多く、納期が間近に迫っていたらプライベートより仕事を優先にせざるを得ない場合もあります。その結果、家族や友人との時間、または趣味の時間が削られることにより、限界を感じて転職を考える人が多いです。
ワークバランスの改善を求めてフリーランスになる人も多いですが、実際は収入がないと不安なので仕事を詰め込みすぎてワーカーホリックになる人が多いのも現実です。
仕事内容と給料(収入)があっていない
平均的なWebデザイナーの年収は、350万円〜450万円というデータがあります(2023年マイナビ調べ)
40代の平均が454万円なので、正直他の職種と比べて高い数字とは言えません。
しかし、実務は超専門職であり、スキルや知識も必要で、拘束時間も長いです。さらにITの進化は早いので、スキルは常にアップデートしていかなければいけませんので学習時間も必要です。どんだけプライベートを削らなければいけないのかと考えるデザイナーも少なくありません。
Webデザイナーはやりがいはあれど、もらえる給料面と実務の大変さがあっていない仕事です。
40代でも500万円を超えないとなると、やはり転職やジョブチェンジをしてWebディレクター、アートディレクター、Webマーケッター、Webプロデューサー、その他Web管理職系へと変わっていき、年をとっても現場の第一線でデザイナーを続ける人は少ないです。
また、フリーランスになったら収入が増える人は確かに多いですが、フリーは収入が不安定という面がどうしてもあります。
技術の急速な進化と競争の激化で、一生続く勉強が辛い
Webデザインの流行は日々驚くべき速さで進化しています。CSS3、Jquery、フラットデザイン、Web2.0、LP、UI/UXデザイン、レスポンシブ、SNS、AI対応、5G、アプリと、ここ10年でも非常に早い流れになっていてすでに時代遅れとなった技術もあります。Webデザイナーは当たり前のようにこの流れに乗っていかなければいけない立場です。
20年近く前、私が一生懸命勉強したFlash(動くHP)は今や跡形もなく過去の遺物となりました。
数年後には、また全く新しいITスキルが標準となっていることでしょう。
Webデザイナーは常にスキルをアップデートしていく必要があり、その速さは年々急速になってきているのを感じます。
また、ツールもどんどん新しく使いやすいのが登場してきていますが、その度にツールを覚える勉強も必要です。
Webデザイナーは他の仕事と比べると、学習の継続とそれを実際にデザインに反映させるまでの応用力、スキルや知識のアップデートに割かなければいけない時間が多いです。このIT進化と永遠に続くと思われる勉強に、もう無理だと後悔するデザイナーが多いのも現実です。
これは、会社員デザイナーでもフリーランスデザイナーでも全く同じプレッシャーを持っています。
Webデザイナーを続けている限り、勉強は一生続きます。10年前のスキルではずっとは戦えません。
クライアントからのストレスと納期に追われるのが辛い
クライアントのプレッシャーや厳しい締め切りによって、疲労やストレスで心身を壊してしまうWebデザイナーもいます。
まずクライアントというのは基本的に好き勝手いうのでいちいち気にしないのが一番なのですが、やはりデザインを何度もダメ出しされると傷付きますし、修正が延々に終わらないと発狂しそうな気持ちになります。自分自身を否定されたような気持ちにもなります。
また、自分はもっとこういうデザインをしたいんだと思っても、クライアントの要望ありきな仕事なので、自分のやりたいことと制作物が噛み合わず悩んでしまうデザイナーもいます。
さらに、Web制作にありがちの納期が短い問題も、Webデザイナーの心を病ませます。納期間近になると、現場スタッフは身を削って仕事をしなければいけません。
どんどんモチベーションが下がり、心も疲れて、このプロジェクトが終わったら退職しよう、と考えるようになってしまうのです。
フリーランスの場合は、もっと深刻です。クライアントからのダメ出しや要求に対して相談したり励まし合う仲間がいませんので、全て自分一人で受け止めてやり取りをしなければいけません。
フリーランスの場合、プライベートで突発的な事情(病気等)があっても納期はやってきますし、自分一人でこなさなきゃいけないし、納期が守れないフリーランスはあっという間に信用を失ってしまいます。
自分のスキル不足に落ち込む
特に駆け出しのデザイナーがつまづきがちなのが、自分のスキル不足に対する憤りです。
特に駆け出しの頃は覚えることが多すぎて、気持ちばかり焦って、こんなはずじゃなかった。Webデザイナーなんてやめておけばよかった。なんで自分ばかりこんな苦労をしているんだろう。という気持ちになりがちなんですよね。
クライアントからのダメ出しがきたり、もっとこうしたいという頭の中の願望はあるのに、実現できる腕がなかったりすると落ち込みます。
まあ私は40を超えた今でも自分のスキル不足に落ち込むことはしょっちゅうです。それは周りのデザイナーも同じようなことを言っています。
以上が、私が20年近くWebデザイナーをやってきて後悔を感じた面やWebデザイナーのしんどい面の話です。
Webデザイナーを後悔しつつも辞めないでよかったと思うこと
ここからは、Webデザイナーを後悔しつつもやっぱり辞めないでよかったなと思った点をまとめていきます!参考にしてくださいね
Webデザインスキルは転職がしやすい
基本的に身につけた専門スキルがあるので、転職はしやすい職種だと思います。
基本的にWebデザイナーになる人でデザインそのものが嫌いな人はいません。
なので仕事辞めたいとなった時は、忙しすぎる会社環境だったりスキルアップのために会社が何もしてくれなかったり、同じ働く仲間に恵まれなかったりという時が多いです。
逆を言うと、多少しんどい仕事内容でも、仲間に恵まれていたら続けている人が多いです。
福利厚生や仕事内容は会社によって様々です。自分に合った制作会社に出会えれば、同じデザイナー職でも全く印象が変わってくることもあります。スキルアップをサポートしてくれる会社もあります。
Webの知識は今後のIT社会には必須のもの
webの知識を身につけると、その知識はこれからの社会で一生役に立つ財産になります。
なぜなら、世の中にはITとは関係ないリアルな現実で生きている人がいっぱいいるからです。日頃インターネットばかりしていると麻痺してしまいがちですが、Webスキルなんて持っている人は現実ではほとんどいません。
スマホしか使えない、動画とSNSしか見ないと言う人も少なくなりません。
仮にWeb系の会社に勤めなかったとしても、HPの更新やデザインができる人材は重宝されると思います。Webスキルのトレンドに詳しいことはこれからの時代、大きな強みになります。
副業と相性が良い
Weデザイナーは副業とすごく相性が良く、最適な仕事です。主婦の副業でも在宅ワークが人気ですが、やはり誰でもできる仕事とスキルが必要な仕事では競争率や収入が違ってきます。
将来副業として、スキルを活かしてお金を稼ぐことは十分できます。
感謝される仕事である
納品したWebサイトをお客様に気に入ってもらえる、感謝してもらえる、これは何にも勝る喜びです。さらにそのサイトが売上を伸ばしたり、サービスの役に立ったりすること。これがWebデザイナーの醍醐味です。
Webデザインは人の役に立つ仕事です。困っているクライアントの悩みを解消したい、単純ですがそんな気持ちで続けています。
やっぱりデザインもコーディングも楽しい
Webデザイナー、後悔したけどやっぱり辞めなくてよかったと今思うのは、40代の今でもデザイン作業も好きだしコーディングも好きで、楽しいと思えているからです。
好きなこと、楽しいことを仕事にできた自分は幸せだと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。Webデザイナーになって後悔することは、正直いって山ほどあります。後悔しない人なんて絶対いません。なんとなくキラキラした響きがありますが、その実はコスパもタイパも悪い大変な仕事です。
ただWebデザインのスキルは、いろいろな使い道があるものなのも本当です。