制作会社だけじゃない、Webデザイナーの就職先具体例一覧

webデザイナーの具体的な就職先や働き方について現役デザイナーが解説

「Webデザイナー」という肩書きはひとつですが、就職先の会社や働き方にはいろいろな違いがあります。

特に、女性の人生には結婚や出産といった分岐点があります。その観点からみても、どんな会社が良いかどのような働き方があるかをまとめてみました。

この記事を書いているのは、Webデザイナー歴18年の現役フリーランスです

目次

デザイン制作会社に就職・転職

Webデザイナーというと、Webサイトを1から10まで作るのが仕事だと想像する人が多いと思います。

実際に、その仕事をやっているのが、デザイン制作会社です。

デザイン制作会社は、企業や広告代理店からWebサイトの発注を受けて、提案・デザイン・制作まで全て引き受けます。

また、Webデザインだけでなく、DTPデザイン(紙の販促デザイン)も併せてやっているところも多く、まさにデザインを産み出す会社です。

Web制作会社の良いところ

デザイン力が上がる

自分のデザインしたサイトをいちから生み出すことができるデザイン会社は、デザイナーにとって一番の花形です。

制作会社に勤めることで、デザインスキルをガンガンに磨くことができます。

将来フリーランスになりたい人は、まずは制作会社で働くことをおすすめします。2〜3年働くとぐっと実力がつきます。

Webサイト制作の流れが見える

また、制作会社で得ることができる大きな経験値が、サイト制作に関わる一連の流れを知ることです。これも独立を考えている人にとっては、貴重な財産となります。

クライアントといちから関わることができるので、クライアントの意見をまとめてサイトに起こすという一連の流れ(※クライアントワークと言います)を身につけることができるのです。

プロジェクト毎に全く違うアイデアを求められるので、臨機応変なデザイン力を高めることができる。

サーバーやシステム等もクライアントによって違うので、Webのさまざまな知識が身に付く。

クライアントにより対応も変わるので、対応力が身に付く。

プロジェクト毎にさまざまな業界の知識が身に付く。

「Webデザイナー」としてのスキルをあげたいのであれば、制作会社が一番です。

Web制作会社の悪いところ

基本的にブラックです。

働き方改革が主流とはいえ、デザイン業界・IT業界はまだまだブラック体質のところが多いです。デザイン制作会社というのは、私生活を犠牲にしてでも納品するのが正義、という常識がまかり通っています。

基本的にデザインが好きな人が集まっているので、プライベートな時間を潰すことはいといません。そうしなければ自分のデザイナーレベルがあがらないのがわかっているからです。

結局、デザインというのは技術職なので、どこかで無理をしないと人より上に行くことはできません。

会社として悪かどうかという問題ではなく、デザイン職というスキル重視の職がそうさせているのです。

会社にプライドがあり、デザインにプライドを持っている人が多い。=ホワイト企業ではない。

ただしブラックなりに仲の良い職場であったり、楽しいサークルのような雰囲気があるところも多いです。

Web制作会社はこんな人が向いています

デザインで勝負したい人。デザインスキルをあげたい人。いろんなサイトを作りたい人。好奇心が強い人。探究心が強い人。徹夜も苦じゃない人。

制作会社で働く一流デザイナーの女性は憧れますが、女性にはきつい現場も少なくありません。

プライベートを優先したい人にはおすすめできないかも

ただし、女性のデザイナーは、さまざまな場面で重宝されるとと思いますし、チャンスも多いです。

もし、出産後の復帰は厳しそうな多忙な会社であっても、制作会社で磨いたスキルのおかげで、育児と両立できる職場への転職もありかと思います。

または、出産を機にフリーランスへの転身もあり。制作会社でこなした実績があれば、独立で失敗することは少ないと思います。フリーランスは飽和状態と言われていますが、実力のある人はいつでも需要があります。

また、コロナ以降は、在宅勤務OKの制作会社が増えたので、在宅で制作の仕事を続けることができるかもしれませんね。

インハウスのWebデザイナー

Webデザイン制作会社ではなく、一企業の中の「デザイン部署」といった枠組みで働くデザイナーのことを「インハウスデザイナー」と言います。

デザイン制作会社との違いは、自社製品のデザインを行うということ。

主に自社サイトや自社アプリの更新、ecサイトの商品の更新や新商品ページの作成、バナーの作成等、とにかく自社のWebサービスに関わる部分のデザインを担当します。

自社サイト・自社商品にずっと関わり続けますので、WebマーケティングやSEOなどの知識も身に付きます。

インハウスデザイナーの良いところ

あくまで「制作会社よりは」ですが、仕事環境はゆるめのところが多いです。

特に大手企業のインハウスデザイナーになると、福利厚生は会社の規定によりますので、かなり充実していることが多いです。

有休消化率、育休消化率、残業ゼロ、ボーナス多いなど、所属企業の恩恵に預かれることはありがたいですね。

もちろん勤めている会社によりますので、中小企業のインハウスデザイナーで苦労している人もいます。中にはぎりぎりで人材をまわしているためにデザイナーが自分しかいなくて、デザイン業務を全てこなさなければいけないという話を聞いたこともあります。

インハウスデザイナーの悪いところ

これもあくまで「制作会社」と比較してですが、デザインスキルは制作会社勤務より落ちることが多いです。落ちるというよりはアップ率が下がるという感じ。

毎日一からデザインを作り上げることを繰り返す制作会社と違い、基本的に自社サイトの更新がメインですので、どうしても新しいデザインの取り込みは難しくなります。

例えば女性向けアパレルの会社であれば、女性向けデザインは向上するでしょうが、男性向けデザインのセンスはあがらないかもしれないですね。

インハウスデザイナーとして働く女性

ずっと外で働きたい、キャリアを積みたい。でもそれなりに福利厚生はしっかりしたところに勤めたい。という女性は、インハウスデザイナーがおすすめです。

何度も書いていますが、大手であれば福利厚生はしっかりしていますので、妊娠や出産後も働きやすい可能性は高いです。

ITシステム会社のWebデザイナー

主にWebシステムを制作する会社の中で、デザインを担当している職種を指します。

システムを作るのはプログラマですが、システム画面のデザインやアプリのデザインをするのは、デザイナーの仕事です。UIデザイナーと言ったりもしますね。

Webシステム会社も様々で、自社内にデザイン部門を持つところもあれば、外注でデザイン制作会社やフリーのデザイナーに頼むところもいます。

UIデザインに興味がある人におすすめです。

 

Webシステム会社のデザイナーの良いところ

プログラマに任せる点、デザイナーが頑張る点、お互いの仕事を尊敬できて、うまく仕事が回れば最高の職場です。

Webデザイナーにとって、ITの最新知識は(自分が身につけるまではいかなくても)覚えておいた方がのちのち必ず役に立ちます。基本的にチームの一員として仕事をすることになるので、エンジニアと一緒に仕事をすることで、ITの最先端知識はどんどん身についてくるはず。

Webシステム会社のデザイナーの悪いところ

制作会社同様、基本的にブラック率が高いです

日本のIT会社のブラック体質は深刻です

ただし、システム部門が忙しくてもデザイナー部は帰宅できる(または、その逆)ということもあるでしょう。

度重なる仕様変更からなる納期遅れのスケジュール調整に、デザイナーが巻き込まれることは多々あります。

Webシステム会社のデザイナーとして働く女性

ITシステム会社は基本的に男性社会です。女性SEも多くなってきたとはいえ、やはり男性が多めです。

女性が多い職場より楽に過ごせるという人には、向いていそうな環境ですね

福利厚生や産休・育休の取りやすさは、その会社によります(大手だと取りやすそう)、ただしIT業界全体で言うと、女性が出産後も働きやすい環境かというと、必ずしもそうではないですね。

ただ、コロナ禍以降は、在宅ワークへの移行をすすめているところも多く、出産後も働きやすくなっていると思います。

大手メディア系サイトのデザイナー

現在はたくさんのメディア系サイトやアプリが溢れています。ニュース系、メイク系、旅・街歩き、グルメ、主婦向け、アパレル、キュレーション、IT、ペット、キャンプetc

これらのメディア系はデザイン力を必要としないシンプルな更新作業も多いのですが、サイトによっては常にWebデザイナーがデザインを起こしているところもあります。

これらの会社に常駐しているWebデザイナーがいます。

メディア系のWebデザイナーの良いところ

情報に強くなります。また、メディア系はスピードが命なので、作業スピードが速くなります。

求人体型が派遣やバイトも多いので、比較的就職しやすい。

また、Webデザインを知らない友人や身内にも「このサイトを制作をしている」と伝わり易いです。

メディア系のWebデザイナーの悪いところ

即時公開や情報の公開日が決まっているので、急な仕事や納期が厳しい時もあります。また、基本のデザインテンプレートに合わせることが多いので、デザイン力はあがりにくいかと思います。

メディア系のWebデザイナーで働く女性

しっかりとしたデザイン部門がある企業もありますが、フリーランスや派遣にデザインや更新をお願いしている企業の場合は、敷居も低く未経験者でも働き始めやすい環境かと思います。

フリーランス

企業に属さず、自分で仕事を受注して、納品するフリーランス。

Webデザイン力があがるも落ちるも、お金を稼ぐも稼がないも全て本人の働き方しだいです。

本業としてがっつり稼いでいる人もいれば、扶養の範囲内で働くこともできる、まさに自由な働き方です。

個人的にはいきなりフリーランスになるのではなく、上記の職種を数年経験してから独立するのが一番おすすめです。

フリーランス独立のタイミングについては、以下の記事でもまとめています。

フリーランスになった後の仕事内容について、レベル別にまとめました。

その他の会社で働くWebデザイナー

デザイナーとしての採用ではなく、就職するパターンもあります。

デザインスキルを持っていると、思いもかけない職場で役に立つことができます。

一見、デザインに関係のない職場にただの事務で就職したとしても、将来的にその会社の広告周りやWebサイト作りを任されたりするかもしれません。

Webサイトを外注するにしても、あなたがWebデザインを学んでいたら、あなたが制作会社との窓口の担当に抜擢される可能性が高いです。

ITスキルを持った従業員がいない中小企業は、日本にはまだまだ山ほどあります。

例えWebデザインを活かせる場所に就職・転職できなかったとしても、あなたの持っているデザインスキルを活かせるチャンスは案外近くにあるかもしれません。

Webデザイナーの就職先のまとめ

Webデザインを学んだ後に働く場所として、具体的にあげてみました。

会社の数だけいろいろな働き方があるので、この記事はあくまで傾向と思ってください。

いろいろなキャリアがあり、いろいろな働き方があることはわかっていただけたでしょうか?

人生は長いです。会社員からフリーランスになるのもよし、制作会社からインハウスデザイナーに転職するもよし。全く違う会社に転職してスキルを地味に使うのもよし、自分に合った働き方を探していきたいですね。

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