デザインの勉強を始めると、まず名前が出てくるのが Photoshop(フォトショップ) やIllustrator(イラストレーター) などのAdobe製品です。
特に Adobe Creative Cloud のコンプリートプラン(旧名)は、プロの現場で必須のソフトが全て含まれていて、多くのプロが愛用しています。
でも
「本当にAdobe CCのコンプリートプランって必要なの?」
と悩んでいる方も多いと思います。だって高いですもんね。

便利なのは確かだけど、実際の費用対効果が気になるのもわかる
しかし、今までの、アプリの数と料金の比較だけで選ぶ時代は終わりました。
2025年の今は、AI機能の登場によって、価格だけではなく選び方の基準そのものが変わってきました。



「AIをどれだけ利用するか」が重要な判断ポイントになっています
※Adobeの主要ソフトがセットになった「コンプリートプラン」は改名し、現在はCC ProとCC Standardの2つに分離しています
AdobeCC全ソフトと特典の解説については、以下の記事を参考にしてください。


この記事を書いた人


- Web業界歴20年
- 会社員デザイナー →フリーランスへ
- 一児の母・在宅ワーカー
業界の片隅で20年近くやってきました。これからWebデザインを学びたい人のために、独学やスクールの情報をまとめています
最新Adobe CC Pro / Standardと単体プランを比較
デザインや写真編集、動画制作などのAdobe製品をまとめてお得に利用したい場合、以前は「コンプリートプラン」という一択でしたが、2025年8月より
・Creative Cloud Pro(プロ)
(以下 CC Pro)
・Creative Cloud Standard(スタンダード)
(以下 CC Standard)
の2種類に分かれています。
また、PhotoshopやIllustratorなどを1本ずつ契約できる「単体プラン」もあります。



自分の用途に合わせてプランを選べるよう、それぞれの違いをしっかり比較してみましょう!
ここでは利用者の多い Photoshopのプラン と比較しながら、料金と機能の違いを見ていきます。
※Photoshopは、単体プランよりフォトプラン(Photoshop+Lightroom)の方が安いため、こちらで比較します。
料金を比較(2025年10月時点)
全て税込価格
CC Pro | CC Standard | フォトプラン | |
月々プラン | 14,480円/月 | 10,280円/月 | 3,960円/月 |
年間プラン (月々払い) | 4,539円/月 最初の3ヶ月が50%OFFキャンペーン中 | 6,480円/月 | 2,380円/月 |
年間プラン (一括払い) | 102,960円/年 | 72,336円/年 | 28,480円/年 |
機能を比較(2025年10月時点)
CC Pro | CC Standard | フォトプラン | |
利用可能アプリ | 20以上のアプリが制限なしで利用可能 | 20以上のアプリが利用可能(一部機能制限あり) | Photoshop Lightroom |
AI機能 | 無制限 | 25クレジット/月 | 25クレジット/月 |
公式リンク | 公式で確認 | 公式で確認 | 公式で確認 |
コスト感の目安



契約者が多いと思われる年間プラン(月々払い)で比較してみますね
仮にデザイン現場でよく使うPhotoshopとIllustratorを2本契約するとしましょう。
※Photoshopは単体プランより「フォトプラン(Photoshop+Lightroom)」で契約するのが最安
フォトプラン(Photoshop): 2,380円
Illustrator単体プラン: 3,280円
合計:5,660円
この2本であれば、CC Standard(6,480円)よりも、820円/月安く抑えられます。
1.単体プラン1つ
4.CC Pro
の順に高くなりますね。
ただし、考えるべきは価格の安さより、生成AIの利用制限についてです。
【重要】AI機能(Firefly)の利用制限がプラン選びの鍵
「CC Pro 」「CC Standard」「単体プラン」の比較で、一番の判断ポイントになるのがAI機能(Adobe Firefly)の使い方です。



Fireflyは、Adobeが開発した画像生成AIで、Photoshopなど複数のアプリと連携できます
プランごとのAI利用回数の違いは以下のとおりです。
【Proプラン】 無制限
【Standard・単体プラン】 月25クレジットまで
【Firefly単体プラン】 2,000 or 4,000クレジット
※1回の利用で消費するクレジット数は機能によって異なります。未使用分を翌月に持ち越すことはできません。
CC Standardと単体プランの「月25クレジット」は厳しい?
画像生成AIは、一度で理想の結果が出ることはほとんどなく、何度も生成を繰り返すのが当たり前です。
25クレジットではあっという間に上限に達してしまうため、AIを多く活用する人にとっては「Proプラン」の無制限が大きなメリットになります。



今は、AIとの連携はデザインの現場になくてはならない存在になってきています
特に Adobe Photoshop や Adobe Illustrator と連携させると背景の自動生成やパターン作成、画像の補完などが一瞬でできて、作業スピードが一気に変わります。
ちょっと便利な機能なんてレベルじゃなくて、効率化や時短はもちろん、これまで手作業では難しかった表現やアイデア出しもスムーズに。制作の質そのものを引き上げてくれる存在ですね。



ちなみに、ProとStandardでは、Webアプリの一部機能にも差があります
たとえば Adobe Express などのWeb版では、Proのみ利用できる機能があるため、ブラウザ上で制作を完結させたい人はProの方が自由度が高いです。
とはいえ、日常の作業ではAI機能の差のほうが影響が大きいので、判断基準としてはAI重視でOKです。
Firefly単体プランを追加契約するメリット
生成AIのAdobe Fireflyには単体プランもあります。
Fireflyのプランは、StandardとProの2つで、違いはAI機能の利用制限になります。
Firefly Standard | Firefly Pro | |
月々プラン | 1,580円/月 | 3,180円/月 |
年間プラン (月々払い) | 1,380円/月 | 2,780円/月 |
年間プラン (一括払い) | 15,780円/年 | 31,680円/年 |
AI機能 | 標準生成機能:2,000/月 | 標準生成機能:無制限 プレミアム機能:4,000/月 |



FireflyとPhotoshopやIllustratorの単体を組み合わせて考えてみましょう
フォトプラン(2,380円)+Firefly Standard(1,380円)
= 3,760円/月
→ AIは月2000クレジット。CC Standard(6,480円)より安く、AIの利用回数が多い。
フォトプラン(2,380円)+Firefly Pro(2,780円)
= 5,160円/月
→ CC Standard(6,480円)より安く、さらにAIは無制限+プレミアム4,000クレジット。
フォトプラン(2,380円)+Illustrator単体プラン(3,280円)+Firefly Standard(1,380円)
= 7,040円/月
→ CC Pro(9,080円)より安く、AIは月2000クレジット。
※年間(月々払い)を適用した場合
※プレミアム生成AI機能とは
動画や音声の作成など、高度なAI処理が必要な機能のことです。通常の生成機能より負荷が高いので、「CC Pro」か「Firefly Pro」の契約でしか利用できない、専用の生成クレジットを消費します。
「アプリはPhotoshop(もしくはIllustrator等)だけでいいけど生成AIを多く使いたい」という希望の人には、現実的な選択肢のひとつですね。
Proなら外部AIモデル(Nano Bananaなど)も使える
Photoshop の生成AI機能に、Adobe Firefly 以外の外部モデルが追加され、Nano Bananaなど複数のモデルを直接選んで使えるようになりました。
この機能はProプラン限定です(Standardや単体プランでは従来のFireflyのみ利用可能)
現在はベータ版で提供中で仕様は今後変更される可能性がありますが、かなりの強力機能なので、今後はAIの利用制限だけでなく「AIの性能・種類」という面からもProの優位性が強くなっています。
外部モデルの追加により、素材作成の幅が広がり、AI活用の可能性がさらに拡大していますね。



とくに Nano Banana は、同じモデルでいろんなポーズを作れたりと、注目のAIモデルです
自分に合ったプランを選ぶための判断基準
判断ポイント1:AIの使用頻度に基づく選び方
ユーザータイプ | おすすめプラン | 特徴 |
---|---|---|
AIをしっかり活用したい | ・CC Pro ・単体プラン+Firefly Pro | AI無制限+プレミアム機能付 |
単体アプリ+AIを安く使いたい | ・単体プラン+Firefly Standard | コスパ◎ |
AIは少しだけでOK AIは使わない・趣味 | ・CC Standard ・単体プラン | 25クレジット/月 |
アプリは1つ、AIは少しだけでOK | ・単体プラン | 最安 |
判断ポイント2:AI以外の違いについて
AI機能だけでなく、セットプラン(CC Pro/CC Standard)には単体プランにはない強みもあります。
特に大きいのが、複数のアプリをシームレスに連携できるという点です。
たとえば、Photoshopで加工した画像を Illustratorに取り込んで仕上げたり、ExpressでSNS用に書き出したりといった流れが、とてもスムーズに行えます。



制作全体のスピードが一気に上がるんです
それ以外にもこんなメリットがあります。
- 契約をまとめられるので管理がラク
- 複数単体プランを契約するより結果的に割安になる
- 新しいアプリを追加料金なしで使える柔軟性
特に初心者は、最初はPhotoshopだけで全然いいのですが、後からIllustratorやExpress、Premiere proなどを使う機会が自然と増えてくるケースが多いです。
そのたびに契約を追加するより、CCセットプランでまとめておいた方が結果的にコスパが良いこともあります。
実際のWebデザイナーのアプリ構成は?
上でも書きましたが、実際の制作現場では、Photoshopひとつだけで完結するケースは少なく、複数のツールを組み合わせることが多いです。
たとえば、
Photoshop + Figma
画像加工とUIデザインを分けて作業する、Webデザイナーの基本構成。
Adobe CC(Photoshop/Adobe Illustrator/Adobe Firefly/Adobe Express)+Figma
・ バナー・ビジュアル制作からワイヤー・UI設計までワンストップで対応。
・ 制作会社や本格的なフリーランスでよく見られる構成。
Illustrator + Photoshop + Firefly(AI)+Express(SNS納品)
紙・Web両方を扱うデザイナーに多い構成。



Figma以外は全部Adobe製品ですね
Figmaとは
無料で使える、Adobe製品と並んでWeb制作で使われている定番ツールです。
Webサイトやアプリの見た目(UI)をデザインしたり、プロトタイプ(動きのある設計)を作ったりできます。たとえば、Adobe Photoshopで加工した画像をFigmaに配置して、Webサイトのレイアウトを組んだりします。
初心者にとってAdobeCC Proは必要か?(旧コンプリートプラン)
正直なところ、ソフトの数だけで言えば初心者には多すぎるし、「Photoshop+Figma(無料)」でも十分Webデザインは始められます。
私も一年前なら、「無理してAdobeCCじゃなくても単体プランでいいんじゃない?」と言っていました。
ただ現在のデザイン現場では、AIを活用しないワークフローは、これからの時代には合わなくなりつつあります。
画像生成や補完、ラフの作成など、AIが担う領域は年々広がっており、「AIを使えるかどうか」が作業効率や表現の幅に直結するようになっています。
また、生成AIをどれだけ使えるかどうかが、これからデザインを学ぶ人にとってとても大きな差になります。
生成AIが無制限なら、学習段階からトライ&エラーを存分に繰り返せるので、習熟スピードにも大きく差が出ます。



Aiがあるのとないのとで学習コストが全然違うよ
また、「Adobe以外の他の無料の生成AIを使えば?」と思うかもしれません。
しかし、他の無料の画像生成AIはライセンスや商用利用の条件が曖昧なケースも多く、仕事で使うには法的リスクがつきまといます。
その点、Adobe Fireflyは商用利用が明確に許諾されたライセンスのもとで利用できるため、安心して実務に活用できます。



実際制作会社で使われているのは、Fireflyが多い。今後も新しいAIは出てくるだろうけど、Adobe製品と連携できるのも強い
これまでなら「Photoshop+Figma」で十分という考え方もありましたが、今は生成AIの利用制限によって、価格だけでは判断できない時代になっていますね。
まとめ
以前は、アプリの数と値段のバランスで選んでいた Adobe Creative Cloud(AdobeCC)のプランですが、2025年の現在は、生成AI(Adobe Firefly)の利用頻度が大きな判断ポイントになっています。
Fireflyをしっかり使って学習したい人、将来的に商用利用を考えている人にとっては、Proプランの「生成AI無制限」という条件は大きなメリットです。
一方で、限られたアプリしか使わない人や従来の機能で十分な人は、Standardや単体プランでも十分対応可能かと思います。
また、AI以外にも「CC Pro」や「CC Standard」といったセットプランには、複数アプリの連携がスムーズという実用的なメリットもあります。



目的によって、選ぶべきプランは変わります
- これからデザインを学びたい
- 今の作業を効率化したい
- 作業内容は固定化しているし今のままで十分



初心者やこれから始める人には、AIを活用できる環境を用意しておくのが断然おすすめです。
個人的には、生成AIを中心にガンガン学びたい方は「CC Pro」、コスパも考えつつ生成AIも取り入れたい人は「Photoshop単体+Firefly単体プラン」の組み合わせが、柔軟な選択肢だと思います。
AdobeCC全ソフトと特典の解説については、以下の記事を参考にしてください。

